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大阪簡易裁判所 昭和40年(ハ)1343号 判決 1966年12月21日

原告 日本電信電話公社

代理人 樋口哲夫 外四名

被告 鈴木律人

主文

被告は原告に対し金九六、六六一円とうち金三〇、一一七円に対する昭和三七年一一月二〇日以降、うち金三八、九八八円に対する同年一二月一八日以降、うち金二四、六五九円に対する昭和三八年一月一八日以降、うち金九〇〇円に対する同年二月一五日以降いずれも支払ずみの日の前日まで一〇〇円につき日歩四銭の割合による金員を支払え。

訴訟費用は被告の負担とする。

事  実<省略>

理由

一、(証拠省略)を総合すれば、訴外富士光産業株式会社は昭和三七年六月二九日頃自己が加入契約者であつた旧大阪二五一局五三三六番の本件電話加入権を訴外竹内洋一に譲渡したこと、しかし料金支払の都合から、原告公社に対しては譲受人を右訴外竹内洋一の使用人であつた被告として電話加入権譲渡承認請求をなし、同日その承認を受けたこと、被告は自己が譲受人として原告公社の右承認を受けることを承諾していたことをそれぞれ認めることができる。

ところで、公衆電気通信法第三八条によれば、電話加入権の譲渡は、公社の承認を受けなければその効力を生ぜず、電話加入権の譲渡があつたときは、その譲受人は加入電話加入者の有していた一切の権利義務を承継するものであることが明らかである。そこで、このように電話加入権の譲渡について公社の承認を要する理由について考えるに、それは公社と無関係に公社の知らないうちに加入契約者が勝手に変るようでは、公社とてしは、電話加入契約に伴う種々のサービスを提供するについても、料金を徴収するについてもその相手方となる者を捕捉することは不可能でないにしても困難であり混乱を生ずることになるので、そのような事態を避けるために公社において電話加入権の譲渡の実態を把握する必要があることによるものと解される。

このような規定の趣旨からすれば、本件電話加入権の譲受人は被告でないとしても、被告は公社に対する右電話加入権の譲渡承認手続の際、譲受人を自己の名義にすることを承諾し、その結果被告を譲受人として公社の承認がなされた以上、料金支払義務を含めて一切の権利義務を被告が承継するものといわざるをえない。

二、次に(証拠省略)によれば、被告には原告主張のとおりの未納料金があること、原告会社が原告主張のとおりの督促状を被告に送付したことを認めることができる。

三、しからば、被告は原告に対し前記未納料金合計九六、六六一円とこのうち昭和三七年九月分から同年一二月分までの未納料金については、別表記載の各指定期日の翌月から支払の日の前日までそれぞれ公衆電気通信法第七九条所定の一〇〇円につき一日四銭の割合による延滞金を支払う義務がある。

四、よつて、原告の被告に対する本訴請求は正当であるから、これを認容することとし、民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 鴨井孝之)

別表(省略)

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